ミャンマー 洪水被災学校の早期の復興と「より良い再建(Build Back Better)」の実現を目指して

2016年6月17日

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浸水した学校
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洪水によって破損した学校壁面
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被災した学校内部

 2016年5月、JICSは、ミャンマーに対する平成27年度無償資金協力「洪水被災学校再建計画」の調達代理機関として、被災学校の再建工事を開始しました。

 ミャンマーでは、2015年7月中旬から続いた大雨により、12州・地域において、約162万人が被災し、学校施設についても甚大な被害を受けました(ミャンマー政府報告によると、被災した学校施設は4,116校)。日本政府は、ミャンマー政府からの学校校舎再建・修復等の要請を受け、同年9月、50億円をめどに学校の再建等、必要な支援を迅速に進めることを発表しました。

 日本政府は、その支援のひとつとして、ザガイン地域、マグウェイ地域、バゴー地域及びエーヤワディ地域を中心とする約80校の学校の再建を目的とした無償資金協力「洪水被災学校再建計画」(供与額:12億円)の実施を表明し、2016年2月、両国政府の間で交換公文が取り交わされました。 日本政府は、より迅速に案件を進めるため、ミャンマー政府の代理として施工・資金管理等を行う調達代理機関をミャンマー政府に推薦することとし、調達代理機関の公募を実施しました。JICSはこの公募に応募した結果、日本政府から推薦される調達代理機関に決定し、同年3月にミャンマー政府と調達代理契約を結びました。

 本案件の対象地域の被災した学校では、未だに子どもたちが簡易なプレハブ教室や青空教室等劣悪な環境下で学んでおり、被災学校の早急な再建が急務となっています。これに応えるべく、JICSは、対象地域における学校の被災状況等の調査を直ちに開始し、2か月間で、約80校の現地調査を行いました。学校建設案件は、調査から完工まで一般的に2年以上要することが多いのですが、本案件の緊急性に鑑み、調査開始から1年以内に第1グループの11校を再建し、2年以内に全対象校を完工させる方針です。

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青空教室
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仮設教室
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現地調査の様子
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着工開始

 また、ミャンマーは、死者・行方不明者約40万人を出した2009年のサイクロン「ナルギス」をはじめ、頻繁に自然災害を受けている地域です。この状況に鑑み、本案件では、我が国の防災の「より良い再建(Build Back Better)※1」の視点を取り入れています。 ミャンマー政府が有する学校建設方針を尊重しつつも、JICSの日本人建築士が、我が国の防災の知見を活かした設計の提案を行い、ミャンマー政府との協議を通じ、将来の災害に耐えうる強靭な学校の再建を目指しています。

 子供たちが一日も早く良好な学習環境下で安心して教育を受けられるよう、案件関係者は一丸となって、尽力してまいります。


※1より良い再建・復興(Build Back Better): 単に災害前の状態に戻るのではなく,災害前よりも強い 社会を作ることを目指す考え方

プロジェクト基礎情報

供与(E/N)額 12.00億円
交換公文(E/N)署名日 2016年2月17日
調達代理契約(A/A)締結日 2016年3月8日
契約相手(調達代理契約) ミャンマー教育省
プロジェクト概要 2015年7月中旬から発生した洪水により被害を受けた学校のうち、ザガイン地域、マグウェイ地域、バゴー地域及びエーヤワディ地域を中心とした約80校の校舎を再建。
JICSの役割 教育省の調達代理機関として、施工会社と契約を締結し、資金管理、工事監理を含むプロジェクト全体の監理を行う。
調達品目 学校建設、教育用家具調達 (施工会社)
プロジェクトの主な流れ/現状 2016年4-5月: 施工会社契約締結(第1バッチ11校)
2016年5月:マグウェイ地域にて着工