スリナム共和国に対する防災機材調達(経済社会開発計画)
2019年1月16日
案件概要
ハリケーン対策を進めるカリブ共同体(CARICOM:カリコム※)諸国とスリナム
地域第五課
大島 正裕
(おおしま まさひろ)
JICSは2015年度から、カリブ海島嶼国が加盟するカリコム諸国のうち12カ国向けに、経済社会開発計画を通じて自然災害の多い同地域に日本製の防災機材を調達しています。2017年度には、新たにスリナム共和国に対する経済社会開発計画(防災機材)を開始しました。
供与額:2億円
政府間決定年月:2018年1月30日
JICSの取組み
国家災害調整センターと調達代理契約を締結(スリナム)
広大なスリナム川
アンティグア・バーブーダに調達したレスキューカー
バルバドスで調達した防災倉庫前にて
セントルシアに調達した指揮車
ハリケーンの甚大な被害とともに増すカリブ諸国の防災機材ニーズと日本製品への評価
カリブ諸国は、毎年のようにハリケーンに見舞われ、被災後のインフラや生活基盤の復興が喫緊の課題です。特に2017年にカリブ海を襲ったハリケーン(マリアおよびイルマ)は、ドミニカ国、アンティグア・バーブーダなどに甚大な被害を与えました。かかる被害を受けて復興・防災機材へのニーズはますます高まっており、復旧活動の前線で指示を出す指揮車、復興現場で活動するトラックや重機、緊急事態に備えて復興用機材を保管する防災倉庫、被災者用テントなど、機材のニーズは多種多様化しています。同地域に設置されるカリブ災害緊急管理機関(CEDMA)を通じて、カリコム加盟国は経済社会開発計画で納入された日本製復興・防災機材について高い評価や情報を共有しています。
スリナムに対するJICS初の機材調達
スリナムは、南米大陸の北端に位置するギアナ三国の一つです。旧オランダ領で、1975 年に独立しました。日本政府による対スリナム無償資金協力は久しぶりのことで、中南米では稀なオランダ語を公用語とする国での業務です。大西洋に面した首都パラマリボは水路の発達で貿易には適していますが、激しい雨に襲われると瞬く間に道路が冠水し、さらには地震や津波などの災害にも悩まされています。こうした災害から市民を守るため、スリナム国家災害調整センター(NCCR)は防災計画の中核を担う機材の供与を日本政府に対して要望しました。現在、JICSは、カリコム加盟国に対する調達経験を活かしつつ限られた時間で機材調査を行い、より効率的で迅速な防災機材調達に向けて手続きを進めているところです。スリナムでも日本製品への評価が広がることを期待しています。
※CARICOM(Caribbean Community、カリコム):カリブの14カ国 1 地域が加盟しており、域内の経済統合を目指すとともに、加盟国間の外交政策の調整、共通のサービス事業実施、社会的・文化的・技術的発展のための協力などを行う。