令和4年度カーボベルデ共和国食糧援助:
カーボベルデ共和国の食糧安全保障強化の一端を担う
2024年4月1日
業務第二部 地域第六課
福島 紗絵(ふくしま さえ)
逼迫する食糧事情を汲んだ迅速な案件の実施
昨今の世界情勢の混乱による穀物の市場価格の高騰のみならず、長引く干ばつによる国内農業生産の不調や、主要産業のひとつである観光産業に打撃を与えた新型コロナウイルス感染症により、カーボベルデ国内の食糧事情は急速に悪化しており、子どもたちの栄養状況にまで影響しかねない深刻な状況にあります。そのようななかで、JICSは農業・環境省との協議や調査を重ね、栄養素を強化した小麦粉と、タイ米・日本米の調達を進めています。
JICSは2001年度から日本国政による食糧援助の調達代理機関の役割を担っています。カーボベルデに対しても継続的な支援を行われており、累計47億円の食糧を調達しています。
食糧援助案件での調達代理機関として、長年培ってきた経験と知識を基に体系的に整備された手続きに則り、本案件でも適正かつ迅速な納入を目指します。
阪南港で積み込まれるカーボベルデ向けの日本米とタイ米
常陸那珂港で船積み中の他国向け日本米
パートナーとして食糧安全保障に寄り添う
前述の体系的に整備された手続きは踏まえながらも、案件ごとに一筋縄ではいかない、さまざまなケースに直面します。カーボベルデ向け案件では以前、ヨーロッパでの異常気象により小麦の収穫と出荷準備が遅れ、カーボベルデ国内の小麦在庫が逼迫したことがありました。農業・環境省やサプライヤー、日本大使館など国内外の関係者との強固な協力関係を基に乗り越えましたが、農業・環境省から切実な危機感の訴えを聞き、食糧援助が国民の生活に直結していることを改めて実感しました。
同国政府は、日本政府の長年の協力に深い謝意を示しているほか、困難な局面も粘り強く対応し共に乗り越えるJICSも同国のパートナーのひとつとして、両国政府のコミッティの席などで高く評価いただいています。
気候変動や昨今の国際情勢の混乱の影響を受け、食糧事情が厳しい状況に置かれているのはカーボベルデだけではありません。今後も、食糧援助が実施されているそれぞれの被援助国に寄り添い、生活に欠かせない食糧安全保障の一端を担っているという意識を持ち続けたいと思います。
カーボベルデ外務協力地域統合省で開催されたコミッティ
令和3年度カーボベルデ「食糧援助」引渡し式
(広瀬参事官とシルヴァ農業・環境大臣)
カーボベルデ到着後、船からサイロに輸送される小麦
案件概要
国民の生活に不可欠な小麦粉と米の調達
アフリカ大西洋沖に位置する小島嶼国カーボベルデでは、国内の耕作可能面積が少ないことから穀物の多くを輸入に頼っていますが、近年の国際情勢の混乱に伴う穀物の市場価格の高騰などにより、国民の食糧へのアクセスが一段と難しくなっています。こうした状況を踏まえ、日本政府は同国に対する食糧援助の実施を決定しました。
調達代理契約締結先 | カーボベルデ共和国外務・協力・地域統合省 |
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エンドユーザー | カーボベルデ共和国農業・環境省 |
供与額 | 2億円 |
政府間決定日 | 2022年7月1日 |