ブルキナファソ 「第五次小学校建設計画」の引渡し式を開催

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2016年7月27日

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引渡し式当日、新しい校舎と式典の開始を待つ大勢の参加者。
児童や保護者、地域の伝統的指導者も参加しました。
ブルキナファソ国旗に描かれている「星」が地面にも登場しました。

 アフリカの内陸国ブルキナファソでは、初等教育純就学率(本来の初等教育就学年齢である6歳から11歳までの人口のみを対象とした就学者数の割合)が6割に留まり、基礎教育の普及が不十分です。また、同国では児童が毎年約1割ずつ増加し、慢性的な教室不足から、1教室で180名が学ばなければならなかったり、壁のない教室、屋根が壊れた教室※1を使用しなければならない事態などが発生し、小学校教室の新設・拡充、仮設教室の建替が必要でした。

 日本政府は、2008年5月のアフリカ開発会議(TICAD IV)で表明した、小中学校1,000校(5,500教室)の建設を具現化するというコミットメントを実現するため、ブルキナファソへ11億3,800万円のコミュニティ開発支援無償資金協力「第五次小学校建設計画」の実施を決定しました。両国政府は2012年7月6日に交換公文を交わし、JICAは贈与契約に基づき資金を供与しました。

 「第五次小学校建設計画」は、ブルキナファソの南西部の5県、中央東部3県での小学校100校(300教室)建設や、付帯施設、机や椅子などの学校用家具を整備するものです。JICSはブルキナファソ政府と調達代理契約を交わし、調達代理機関として日本から供与された資金の管理、コンサルタント、施工会社及び家具会社との契約、ブルキナファソと日本関係者の調整など、プロジェクト全体の監理を担当してきました。

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Before (クリテンガ県内の小学校外観) 
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After
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Before (教室) 
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After

 6月3日には、クリテンガ県プイテンガ郡に建設したフィノグ校で引渡し式が開催され、ブルキナファソ国のジャン・マルタン・クリバリ教育大臣、二石昌人在ブルキナファソ日本国大使をはじめとして、児童や保護者など多くの方々が参加しました。

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クリバリ教育大臣と二石大使の式辞

 本式典では、クリバリ教育大臣や二石大使が式辞を述べられ、二石大使は式辞の中で、以下の言葉を児童へお贈りになりました。

 「本日、元気いっぱいの皆さんがこの式典へ出席しているところを見ることが出来て、とても嬉しいです。皆さん、ご両親や先生たちの言うことをよく聞いて、規律正しく、廉潔でいてください。皆さんは「高潔な人々の国」※2の未来そのものですので、ブルキナファソの発展をサポートできるような人となるよう、一生懸命この学校で勉強してください。」

 大使のお言葉は出席者の心に深く響いたと思います。特に感銘を受けたクリテンガ県令※3から、日本とブルキナファソの友好協力の証として、大使式辞の一節を新校舎へ残されたいとのご希望がありました。

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二石大使からクリバリ教育大臣へ
教室の鍵の引渡し
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テープカット
(左から二石大使、クリバリ教育大臣、ウエドラゴ県令)
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校内見学
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国営放送等メディア4社による
二石大使へのインタビュー
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クリバリ教育大臣、二石大使やウエドラゴ県令が開催校の教職員とともに記念撮影

 JICSは、ブルキナファソでの日本のODAプロジェクト「第四次小学校建設計画」に続き、このプロジェクトにおいても調達代理機関となり、ブルキナファソにて合計で168校(537教室)の小学校建設に携わってきました。

 そして現在、中学校就学者の大幅な増加が予測されている同国において、日本のODAによる中学校建設プロジェクトに調達代理機関として従事しています。

 JICSは今後も引き続きブルキナファソでの教育環境改善に向けたプロジェクトを通じ、教育の質の向上に貢献してまいりたいと考えています。

【現地プロジェクト担当者のコメント】

施設第三課 片平 恭子

式典前日の準備の様子
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上2枚は教員と児童によるグラウンド整備
(ポールにもブルキナファソと日本の国旗を手書き)
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児童と一緒に会場設営や掃除をする
秘書のアワさん(ピンクのTシャツを着用)
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参考写真:現地では雨により、道路が川や沼のようになってしまうことが頻繁にあります。

 会場設営のため、式典開催前日(6/2)から会場となるクリテンガ県のフィノグ校へ秘書のアワさんとともに向かいました。児童や先生方も式典の開催を楽しみにしていて、進級試験を翌週に控えているにもかかわらず、高学年の児童は遅くまで校舎の清掃やグラウンドの整備を手伝ってくれました。ようやく会場設営準備が終わりかけ、教育省のカウンターパート(担当者)もクリテンガ市内での打合せから学校へ戻った頃、急に外に出られない程の強風と豪雨に見舞われました。このまま雨が降り続いたら、学校までのアクセスが遮断され、明日ご出席いただく皆様が無事に会場へ到着することが出来るのか、今晩は学校で夜を明かすことになるのかなどアワさんと心配しながら教室内で雨宿りをしていたところ、カウンターパートがいつもの穏やかな調子で「こんなに校舎がキレイになるまで準備したのだから、明日は晴れますよ。ゆっくり戻れば市内まで帰れるから、心配しないで。」と言葉をかけてくれて、アワさんも私も「明日は朝から会場の最終チェックだ!」と気持ちを新たにしました。市内の宿泊施設へ向かう道は川と化している場所がいくつかありましたが、運転手さんの慎重な運転により、無事に戻ることができました。

 翌日はカウンターパートの言ったとおり、前日の雨のおかげで土埃が少なく、日差しの加減も丁度良い、式典開催にはもってこいのコンディションで、カウンターパートとともに会場で参加いただく皆様をお迎えすることが出来ました。

 式典ではフィノグ校の児童がブルキナファソの国歌斉唱やモシ族※4伝統の歓迎の舞を披露してくれました。児童は大勢の出席者の前で踊るのは緊張したと思いますが、はにかみながらも楽しそうに踊る姿がとても可愛らしかったです。また、フィノグ村ではプロのダンサーによる出席者への歓迎の舞を用意してくださりました。児童たちのそれと比較すると、プロはさすがに動きがダイナミックでありながら、非常に丁寧に歓迎の気持ちの伝わる舞いで、出席者は大変感動されていたと思います。式終了後、全てが滞りなく無事に終えたことにカウンターパートと秘書と私で喜びを分かち合い、今でも時々当時の式典のビデオを見たり、写真を眺めたりして思い起こしています。

 協力企業や関係者の皆様もお忙しい中式典会場に足を運んでくださったおかげで、盛大な引渡し式典となりました。遅くまで準備をしてくれた児童の皆さん、素敵な演目を準備してくれたフィノグ村の皆様、学校の先生方、また準備から実施まで細部にわたりご協力いただいた教育省の皆様へ感謝いたします。

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児童と先生によるブルキナファソ国家斉唱
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児童による歓迎の舞
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プロのダンサーによる歓迎の舞

 ブルキナファソには勉強がしたくても校舎の状態から継続的に授業を受けることが困難な地域があります。学校で勉強したいと熱望する児童たちのために、また教育に力を注ぐ地域の活性化を目指して、国際協力が展開されていくことを願います。Vive la coopération Burkina Faso-Japon!

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教育省研究統計総局部長(左)と
アワさん(右)とともに記念撮影
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アワさんと二人で

※1 本プロジェクト実施前の教室はJICAの「ODA見える化サイト」の第五次小学校建設計画の協力現場の写真として紹介されています。
紹介ページはこちらです。

※2 在ブルキナファソ日本国大使館ウェブサイト参照:「ブルキナファソ」とは、現地語で「高潔な人々の国」という意味です。在ブルキナファソ日本国大使ウェブサイトでの掲載ページはこちらからどうぞ。

※3 県令:県の要職

※4 クリテンガ県プイテンガ郡はモシ族が占める地域です。
「ブルキナファソの主要民族は全人口の24%を占めるモシ族である。その他、グルンシ、セヌフォ、ロビ、ボボ、フラニ族等、詳細に区分すると総民族79が存在し、複雑な民族構造となっている。」
農林水産省ウェブサイトより引用:農林水産省ウェブサイトでの掲載ページはこちら(PDF)からどうぞ。2.3.(2)民族・言語・宗教に記載されています。

プロジェクト基礎情報

案件名 第五次小学校建設計画
供与(E/N)額 11.38億円
交換公文(E/N)署名日 2012年7月6日
贈与契約(G/A)署名日 2012年7月6日
調達代理契約(A/A)締結日 2012年11月4日
契約相手(調達代理契約) ブルキナファソ国民教育・識字省
プロジェクト概要 トゥイ県、フエ県、ケネドゥグ県、レラバ県、コモエ県、クリテンガ県、コルペロゴ県、ブルグ県に小学校を100校(300教室)の建設。付帯施設、机や椅子などの学校用家具の整備。
JICSの役割 本プロジェクトの調達代理機関として、援助資金を管理するとともに、施工会社を始めとするプロジェクト推進に必要な役務や機材の調達及びプロジェクト監理を担当する。
調達内容 施工監理(コンサルタント)、学校建設(施工会社)
プロジェクトの主な流れ/現状 2012年7月:調達代理契約締結
2012年10月:コンサルタントと契約締結
2013年2月:施設第1バッチ入札実施
2013年10月:施設第2バッチ入札実施
2014年5月:施設第3バッチ入札実施
2014年2月:家具第1バッチ入札実施
2014年3月:家具第2バッチ入札実施
2014年10月:家具第3バッチ入札実施
2015年1月:第1バッチサイト引渡し式典開催
2016年6月:第2、第3バッチ合同サイト引渡し式典開催
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