国内勤務者リレーエッセイ No.14
セネガルに対する日本のコミュニティ開発支援無償※1
『ダカール州及びティエス州小中学校建設計画』の引渡し式を終えて」

武井清隆 (業務第一部 施設第三課)(プロジェクトマネージャー)※2

 セネガルの新学期は10月から始まります。
 今年の10月、ティエス州の15の小中学校に通う生徒はワクワクしていました。日本の協力で建てた新しい教室に入ることができるからです。真新しい教室、机、椅子は気持ちのいいものです。生徒ばかりでなく、教職員にとっても嬉しさは同じです。
 JICSの職員が状況調査のため学校を訪れると、新しい教室の中で、先生が生徒に話しかけます。「君たち、日本という国を知っているかな ? ずっとずっと遠い国だよ。この人たちは、そのずっとずっと遠い国から来て、この教室を建ててくれた人たちだよ。さあ、ありがとうと言おう。」「ありがとう、日本。ありがとう、日本。」

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日本の協力を説明する先生
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楽しそうに学ぶ生徒たち
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休み時間の生徒たち

 新学期から約2ヶ月が経ち、生徒も教職員も新教室に慣れてきた2014年11月27日(木)、ティエス州ティエス市の
「Sud Stade」小学校において、引渡し式が開催されました。この引渡し式には、セネガルのテレビ局RTSが取材に訪れ、その日の夜8時のテレビニュース(日本のNHK夜7時のニュースに相当)では、北原隆駐セネガル日本国大使が
セリーニュ・ンバイ・チャム セネガル共和国国民教育大臣に教室の鍵を手渡す場面、北原大使およびチャム大臣の
スピーチも放送されました。日本の協力がセネガルの人々に伝わった一場面です。

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北原大使からチャム大臣への鍵の引渡し
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引渡し式会場

 さて、華々しい引渡し式の裏には、地道な準備があります。準備には、日本とセネガルの二国間の調整が必要になるので、このプロジェクトで両国間の連絡調整業務も行っているJICSが調整役となりました。引渡し式には両国を代表して北原大使とチャム大臣が出席予定ですが、お二人は「超」多忙の身です。お二人共に都合の合う日がなかなか決まりません。何度も何度も双方の秘書官と連絡を取り続けて、引渡し式の開催日と開催地が確定したのは、引渡し式の前週の金曜日の夕方です。既に準備期間が1週間を切っており、翌日から、車で1時間半ほど離れているティエス市に行き、視学官※3や会場となる小学校の校長先生と打ち合わせです。月曜日から水曜日は、午前中は事務所で通常業務を行った後、午後はティエス市に出かけて式典の準備です。JICSセネガルプロジェクトオフィスで働く現地スタッフ(ローカルスタッフ)は、式の前日は深夜まで、当日は早朝から式典の準備・運営を手伝ってくれました。会場となった小学校の校長先生は、多分、式の前日は準備のため寝ることができなかったと思います。日本大使館、JICA事務所、国民教育省の方々も含めて、ご尽力いただき、引渡し式を無事成功に導いてくださった全ての人々にお礼申し上げます。
 セネガルに対する日本の小学校教室建設計画は20年以上前から続いています。約20年昔に引き渡された教室を訪問すると、20年間の使用が感じられないほど、きれいに清掃されて、丁寧に使われてきたことがわかります。ティエス州に引き渡された新しい教室も長く、愛されながら大事に使われることを願っています。

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JICSのスタッフ
(左より、アッサン、武井、クレマン、大芝)
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カメラを替えて写真を撮っていたら、
地元の婦人会メンバーが飛び入り参加
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1995年竣工の教室建物

※1 コミュニティ開発支援無償・・・ODAの「二国間援助」の一環として実施される、開発途上国に返済義務を課さないで資金を贈与する援助の一つで、貧困、飢餓、疫病など、人命や安全な生活への脅威に直面するコミュニティの総合的能力開発支援として、学校等の建設などが実施されています。現地の仕様・設計を取り入れ、現地の企業や資機材を積極的に活用するのが大きな特徴です。
詳しくはこちらのページへどうぞ(コミュニティ開発支援無償紹介ページへ)

※2 日本国内のJICS本部に勤務していますが、このプロジェクトの実施に伴い、数回、1〜2ヶ月間(1回あたり)、セネガルへ出張しています。

※3 視学官・・・学校教育に係る専門的な助言や指導を行う行政官


このプロジェクトの過去の記事(下記の題名をクリックすると記事ページ開きます)

プロジェクト基礎情報

案件名 ダカール州及びティエス州小中学校建設計画
供与(E/N)額 12.13億円
交換公文(E/N)署名日 2011年3月8日
贈与契約(G/A)署名日 2011年3月8日
調達代理契約(A/A)締結日 2011年4月29日
契約相手(調達代理契約) 国民教育省
プロジェクト概要 ダカール州及びティエス州の31小中学校に、266教室、21管理棟、168トイレブースを建設並びに教室家具の調達
JICSの役割 調達代理機関として、建設会社および教室家具納入会社の選定、調達資金の管理ならびにプロジェクト全体監理
調達品目 教室棟、管理棟及びトイレ棟(建設)および教室家具
プロジェクトの主な流れ/現状 2011年6月 設計・施工監理コンサルタント契約
2011年9月 ダカール州の施工契約
2012年5月 ダカール州の教室家具契約
2012年10月 ティエス州の施工契約
2013年5月 ティエス州の教室家具契約
2013年5月 ダカール州の施設竣工、教室家具引渡し
2014年7月 ティエス州の施設竣工、教室家具引渡し