ウガンダ 北部アチョリ地域国内避難民帰還・再定住促進のためのコミュニティ再建プロジェクトが完了
2015年4月3日
アフリカ東部に位置するウガンダ共和国で実施された平成23年度紛争予防・平和構築無償「ウガンダ北部アチョリ地域国内避難民帰還・再定住促進のためのコミュニティ再建計画」において、アチョリ地域5県で整備された、35カ所の小学校の教室、3カ所の保健センター施設、及び22カ所の井戸の引渡し式が、2015年3月18日にグル県のキットネイオワロ小学校にて実施されました。


既存のグル県キトネイオワロ小学校内の簡易萱葺き屋根の校舎

簡易萱葺き屋根の教室で授業を受ける生徒たちの様子

グル県キトネイオワロ小学校敷地内に建設された2教室棟2棟(4教室)

キトネイオワロ小学校の新しい教室内部
今回の引渡し式には、在ウガンダ日本国大使館から中村温参事官、JICAウガンダ事務所から河澄恭輔所長と担当所員の方々、ウガンダ中央政府からマイヤンス・シモン首相府情報・広報局長、北部各県の代表者、学校関係者、JICSを含むプロジェクト関係者など総勢100名を超える人が出席しました。更に、会場となったキトネイオワロ小学校の生徒100名も式典に参加し、盛大に完成を祝いました。

マイヤンス・シモン首相府情報・広報局長に校舎の鍵を引き渡す中村参事官
式典では、中村参事官が両国間の今後の更なる関係強化を表明され、河澄所長は2009年から始まった日本国による支援プロジェクトの概要や今後の援助計画等について話されました。また中村参事官よりマイヤンス・シモン首相府情報・広報局長に校舎の鍵が手渡された後、グル県政府代表者へと手渡すセレモニーが行われました。式典終了後に、中村参事官は新しい教室で生徒たちと交流されましたが、地元の伝統に従い、保護者からのヤギ贈呈式が行われました。

新しい教室で児童たちと交流する中村参事官

保護者からのヤギ贈呈式
首都カンパラから400キロ程離れたウガンダ北部地域は、1980年代より20年以上に渡って政府と反政府組織「神の抵抗軍(LRA)」との激しい紛争状態が続き、特にこのプロジェクトの対象となったグル県、キトゥグム県、ラムオ県、パデール県、アガゴ県を含むアチョリ地域では、住民の90%以上に当たる約200万人が他地域への避難を余儀なくされました。このような方たちは“国内避難民”と呼ばれています。2006年8月に停戦が合意されましたが、資金不足により、コミュニティでは充分な学校施設や保健施設の整備が進まない状況が続いていました。教室が不足しているため、萱葺きの簡易教室や木の下で授業を受けている生徒もいました。このプロジェクトはアチョリ地域内にある既存の小学校や保健センターの施設を整備する事に加え、地域住民への社会サービスを充実させ、国内避難民の帰還及び定住に寄与することを目的として2013年3月から工事が開始され、この度無事引渡しが完了しました。
本プロジェクトの実施により、(1)新しい教室にて約6千人の生徒が学ぶことが出来るようになり、学習環境の改善による教育の質の向上、(2)医療施設のサービス内容と医療の質の改善、(3)住民のコミュニティ関連施設への容易なアクセスの確保がなされ、コミュニティにおける一層の国内避難民の定住が促進されることが期待されます。
プロジェクト基礎情報
案件名 | ウガンダ北部アチョリ地域国内避難民帰還・再定住促進のためのコミュニティ再建計画 |
供与金額 | 11.53億円 |
交換公文(E/N)署名日 | 2012年2月23日 |
贈与契約(G/A)署名日 | 2012年2月23日 |
調達代理契約(A/A)締結日 | 2012年4月27日 |
契約相手(調達代理契約) | ウガンダ共和国首相府 |
プロジェクト概要 | 北部アチョリ地域5県のコミュニティインフラの整備 ●教育施設:35カ所の小学校教室・教員用宿舎・トイレ・給水施設(井戸21カ所)整備 ●保健施設:3カ所の保健センターの外来診察棟・入院棟・産科棟・トイレ・焼却炉・給水施設(井戸1カ所)・医療用機材整備 ●アクセス道路:上記の施設に通じる河川横断工(22カ所)、道路補修工(63.6km) |
JICSの役割 | 本プロジェクトの調達代理機関として、援助資金を管理するとともに、施工会社を始めとするプロジェクト推進に必要な役務や機材の調達及びプロジェクト監理を担当する。 |
調達品目 | コンサルタント(施工監理)、学校・保健所等建設(施工会社) |
プロジェクトの主な流れ/現状 | 2012年7月:施工監理コンサルタントと契約 2013年2月:施工会社と契約締結 2013年3月〜2015年3月:全サイト竣工、引渡し |