ニカラグア
日本の協力で中米一の太陽光発電施設が完成
2013年9月12日


ソーラーパークに並ぶ太陽光パネル
ニカラグア共和国の電力発電は、2007年時点で火力発電が全体の70.9%を占め、その他の資源である水力、地熱、バイオマス等の占める割合は極めて少ない状況でした。2004年に「国家開発計画」において当時の大統領により再生可能エネルギーの利用を優先する法案が承認され、同国では2013年までに炭化水素の利用を3%まで削減する目標を掲げ、再生可能エネルギーの導入を推進してきました。
このような背景から、ニカラグア政府は日本政府に対して太陽光発電に関する技術及び資金の協力を要請し、2010年3月9日に日本の無償資金協力による「太陽光を活用したクリーンエネルギー導入計画」に関する交換公文が署名されました。その後、カラソ県ディリアンバ市ラ・トリニダにおいて2011年10月に施設建設が開始され、1年3ヶ月にわたる工事を経て、2013年1月に太陽光発電施設が完成しました。そして、2月21日にエミリオ・ラパッチオリエネルギー鉱山大臣や佐藤正晴駐ニカラグア日本国大使を始め、多くの政府要人の出席のもと、盛大に太陽光発電施設の引渡し式が開催されました。
引渡し式

地元住民の伝統的な踊りによる歓迎

引渡し式で感謝の言葉を述べる地域住民。
後ろは左からエミリオ・ラパッチオリエネルギー鉱山大臣、佐藤正晴駐ニカラグア日本国大使、在ニカラグア大使館西山愼二一等書記官、フェルナンド・バルトダーノディリアンバ市市長。

太陽光パネルを前に説明をうけるエミリオ・ラパッチオリエネルギー鉱山大臣、佐藤正晴駐ニカラグア日本国大使
JICSは、ニカラグア共和国エネルギー鉱山省の調達代理機関として、プロジェクトに必要な資機材の調達、関連設備の建設、据付の監理を行いました。
この太陽光発電施設には5,880枚の太陽光パネルが設置され、発電容量は1.38MWに達します。2013年2月時点で、この施設は日本の無償資金協力で建設された隣国コスタリカの太陽光発電施設を抜き、中米で最大の規模となりました。想定年間発電量は約1,985MWhで、一般家庭約1,100軒分の電気を賄うことが可能です。また、地球温暖化の原因である二酸化炭素を年間約1,100t削減することができます。環境面での利点に加え、発電のための原料を国外からの輸入に頼らなくてもすむという経済的なメリットも太陽光発電の特徴として挙げることができます。
この太陽光発電施設は、首都マナグアから太平洋岸の海岸に向かう幹線道路沿いに建設されているため、建設時から大きな関心を呼んでいました。車を運転しながら施設を見る人が絶えないため、エネルギー鉱山省は運輸インフラ省に依頼し、施設前に速度制限のための段差舗装をしてもらったそうです。この舗装により、通行する人々の安全を確保することができ、同時に施設をゆっくり見てもらえるという効果を上げているとのことです。
また、この施設は環境保護と再生エネルギーによる発電を推進するため、住民や学生、観光客に「ニカラグアソーラーパーク」として解放されています。引渡し後、これまでに多くの人が訪れ、日本の協力により導入された技術に皆驚きを示しているとのことです。
ニカラグアでは、2012年までに再生可能エネルギーによる発電が国内発電量の47%に達しており、2014年には50%、2018年には85〜90%の達成を目指しています。本プロジェクトは、このようなニカラグアの取り組みの一端を担うものとして、大いに活用されています。

ソーラーパーク入り口の看板

展示ホールで太陽光システムについて説明するエネルギー鉱山省職員
ニカラグアソーラーパークのパンフレットはこちらから(PDF/4.6MB)
プロジェクト基礎情報
案件名 | 太陽光を活用したクリーンエネルギー導入計画 |
交換公文署名日 | 2010年3月9日 |
供与(E/N)額 | 10.88億円 |
調達代理契約日 | 2010年4月20日 |
契約相手 | エネルギー鉱山省 |
実施機関 | エネルギー鉱山省 |
プロジェクト概要 | カラソ県ディリアンバ市ラ・トリニダにおける太陽光発電システムの構築(1.38MW) |
JICSの役割 | 本プロジェクトの調達代理機関として、機材納入契約の締結など必要なサービスの調達および資金管理を含むプロジェクト全体の監理を実施。 |