日本のハイブリッド車がボスニア・ヘルツェゴビナの福祉サービスに活用されています
2017年5月26日
2017年4月19日、アディル・オスマノビッチボスニア・ヘルツェゴビナ民生大臣及び小川和也駐ボスニア・ヘルツェゴビナ日本国大使の出席のもと、日本の政府開発援助(ODA)プロジェクトで調達された80台のハイブリッド車の引渡し式が雪の降る同国首都サラエボで行われました。このプロジェクトでは、2016年10月にボスニア・ヘルツェゴビナに引き渡された40台のクリーンディーゼル車を含む計120台の日本製自動車が同国に調達されました。
ボスニア・ヘルツェゴビナでは2014年に発生した洪水により、地方自治体の公用車の多数が損失し、福祉サービスに支障をきたしていました。このプロジェクトは日本製の次世代自動車を同国に供与することで、
(1) ボスニア・ヘルツェゴビナの洪水被害からの復興を含む、経済や社会開発努力や環境保全促進に貢献する
(2) 日本製の次世代自動車に対する認知度向上を図り、普及を促進し日本企業の海外展開を支援する
ことを目指し、日本政府が実施を決定しました。
現在、全ての車両がボスニア・ヘルツェゴビナ全土の福祉施設に配布され、障害者や高齢者、孤児といった社会的弱者を対象とした地域社会の支援活動に活用されています。供与された車両のこの重要な使途については、小川大使のスピーチの中でも紹介されました。また、日本の高度技術が使われている次世代自動車の供与を通じて、ボスニア・ヘルツェゴビナの環境問題への取り組みに貢献することが期待されています。オスマノビッチ大臣はボスニア・ヘルツェゴビナを代表し、この無償資金協力を通じた日本の協力に対して感謝の意を表すると共に、調達代理機関として、ボスニア・ヘルツェゴビナ政府に代わり自動車の調達やプロジェクト監理を行ったJICSに対しても謝意を示されました。
ボスニア・ヘルツェゴビナは、冷戦の終結後、旧ユーゴスラビアが解体する過程で、セルビア系住民、クロアチア系住民、そしてムスリム系住民の3民族が対立し、1990年代前半に激しい紛争を経験した国です。
そのような背景から、調達した車両の取扱説明書はボスニア・ヘルツェゴビナの公用語であるセルビア語、クロアチア語、ボシュニャック語の3言語での作成が求められました。また、ボスニア・ヘルツェゴビナ政府による配布先の福祉施設の選定にあたっては、民族毎の人口比率を考慮した配布地域のバランスに細心の留意が必要とのことで、外国人が立ち入ることが難しいデリケートな問題が今でも存在する状況を垣間見る思いでした。このデリケートな事情のために、ボスニア・ヘルツェゴビナ政府内での配布先の最終決定に時間を要しましたが、関係者の協力のもとに無事に作業が進められ、配布先の選定と決定が行われました。
こうした歴史を抱えるボスニア・ヘルツェゴビナは、過去を乗り越えて未来に進んでいる過程にあります。
オスマノビッチ大臣(右)と小川大使(左)によるスピーチ
小川大使(左)からオスマノビッチ大臣(右)への鍵の引き渡し
供与されたハイブリッド車
引き渡されたハイブリッド車を運転するエンドユーザー
3言語に対応して作成された取扱説明書
(写真提供:豊田通商株式会社)
サラエボ市内に今も残る銃弾の痕
プロジェクト基礎情報
案件名 | 次世代自動車ノン・プロジェクト無償資金協力 ※ノン・プロジェクト無償資金協力についてはこちらのページをご覧ください。 |
政府間決定日 | 2015年3月11日 |
供与(E/N)額 | 5.00億円 |
調達代理契約 | 2015年6月2日 |
プロジェクト概要 | 80台のハイブリッド車、40台のクリーンディーゼル車の調達 |
JICSの役割 | ボスニア・ヘルツェゴビナ財務国庫省の調達代理機関として、ハイブリッド車、クリーンディーゼル車を調達。プロジェクト監理および資金管理を担当。 |