日本の中小企業の起震車がぺルーの防災教育で活躍します
2018年5月23日
キシック国防大臣、高木臨時代理大使、チャベス防災庁長官(右から)が起震車の前で記念撮影
引渡し式の様子
起震車内の様子
製造中の起震車
ご尽力いただいたペルー関係機関の方とJICSのコーディネーター(右中)
今回は日本と同様、地震の多いペルーに対して、JICSが地震を擬似体験できる起震車などを調達したODAプロジェクトをご紹介します。
このプロジェクトは「中小企業ノン・プロジェクト無償資金協力」と呼ばれる、日本政府から開発途上国政府に対する資金供与(援助)であり、日本の中小企業の優れた製品を調達し、相手国の抱える課題解決、経済社会開発の促進などに役立てること、さらに日本の中小企業の海外展開促進も目的としています。
ペルーに対する「中小企業ノン・プロジェクト無償資金協力」の実施決定後、JICSはペルー政府と契約を交わし、ペルー政府の代理人(調達代理機関 )として日本政府からの援助資金を管理し、ペルー政府が必要としている日本の中小企業製品を調達しました。
ペルー政府は、この援助で防災関連機材の購入を検討していましたが、現地の防災訓練の様子を見たJICSの担当者が起震車を紹介したところ、子どもたちが地震の疑似体験をすることで、防災意識の啓発に非常に役立つとペルー側実施機関で納入先でもある防災庁が評価し、起震車も調達することが決定しました。ただし、日本で活躍している起震車は東日本大震災や阪神・淡路大震災などの揺れを再現したものです。現地の用途に合わせ、ペルーで発生したイカやアレキパの地震の揺れの再現機能などを追加し、オーダーメイドする必要がありました。JICSはODAのルールに則り、調達する機材の機能や詳細条件を示す仕様書を作成しますが、さまざまな機材に関する幅広い調査や仕様書作成などの業務を担う専門部署を設けています。今回は電機メーカー出身の専門技術担当者が、入札前の仕様書の作成のほか、製造過程では頻繁な検査確認も実施しました。
また、日本から頻繁に出張することが難しい中で、JICSの現地コーディネーターが防災庁をはじめとした関係機関との調整業務などで活躍しました。ペルーのコーディネーターはペルー国内のほか、カリブ地域などの調整業務も担っています。JICSは世界23カ国に現地コーディネーターを配置しており、プロジェクトオフィスのない国々においても、きめ細やかな対応を行っています。
今回の起震車は神奈川県の中小企業の製品です。大量に流通するものではありませんが、現地の防災意識の啓発に貢献できる、日本の中小企業の高度な技術が活きた機材を調達することができました。JICSはODAにおいて、多数の国に対するプロジェクトで中小企業製品の調達に携わっていますが、今後も、相手国のニーズを的確につかみ、より適切な機材の調達と日本企業の海外展開推進に貢献できればと考えています。
2018年2月にペルーの首都リマで、調達した起震車、指揮車、トイレ、テント、給水タンクなどの防災機材の引渡し式が開催され、ペルーのホルへ・キシック国防大臣及びホルへ・チャベス防災庁長、日本側より 高木昌弘在ペルー臨時代理大使が出席されました。
引渡し式については、現地メディアの関心も高く、国営放送のTV PERUで放映、WEBサイトに動画ニュースも掲載されました(すでに掲載期間終了)。防災庁や在ペルー日本国大使館のWEBサイトにもこのプロジェクトと引渡し式の様子が紹介されていますのでURLをご紹介します。
ペルーに調達されたすべての機材が有効に活用され、現地の防災能力向上や防災意識の啓発に貢献することを期待しています。
・ペルー防災庁 INSTUTUTO NACIONAL DE DEFENSA CIVIL(INDECI)WEBサイト(スペイン語)
掲載URL: https://www.indeci.gob.pe/noticias.php?item=NjE5Mg==
・在ペルー日本国大使館WEBサイト
対ペルー無償資金協力「中小企業ノン・プロジェクト無償」引渡式典
掲載URL: http://www.pe.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000856.html
プロジェクト基礎情報
案件名 | 中小企業ノン・プロジェクト無償資金協力 ※ノン・プロジェクト無償資金協力についてはこちらのページをご覧ください。 |
政府間決定日 | 2016年1月18日 |
供与(E/N)額 | 5.00億円 |
調達代理契約 | 2016年3月28日 |
プロジェクト概要 | 起震車、指揮車、トイレ、テント、給水タンク、吸水土嚢、水フェンス、雷警報器等 |
JICSの役割 | ペルー共和国防災庁の調達代理機関として、日本の中小企業製品を調達。プロジェクト監理および資金管理を担当。 |