ヨルダン
太陽光発電システムが再生可能エネルギーの啓発にも活躍中
2013年10月24日
環境プログラム無償「太陽光を活用したクリーンエネルギー導入計画」でヨルダンの死海パノラマ・コンプレックス※1に導入された100kWpの太陽光発電システム。死海に降り注ぐ日光をたくさん浴びて、2011年12月の設置完了から今日まで、毎日、施設で利用する電力を供給し続けています。死海パノラマ・コンプレックスを管理する王立自然保護院(The Royal Society for the Conservation of Nature / RSCN)の報告によると、同施設の年間消費電力量の約30〜40%を太陽光発電で賄っています。また、排出されるCO2の削減量は年間90トンにも上ると推定されます。

たくさんの子どもたちが死海パノラマ・コンプレックスを訪問

太陽光発電システムの説明を受ける子どもたち
死海パノラマ・コンプレックスに導入された太陽光発電システムの活躍は、CO2排出削減だけにとどまりません。ヨルダン国内の自然保護を目的として設立された王立自然保護院は、エコツーリズムや様々な教育プログラムを実施し、死海パノラマ・コンプレックスでは死海の歴史や生態系についての展示なども行っています。こうした王立自然保護院の活動において、太陽光発電システムはその設置以来、再生可能エネルギーや天然資源の持続的利用に関する啓発に大きな役割を果たしています。
昨年、王立自然保護院は死海パノラマ・コンプレックスで再生可能エネルギーをテーマにしたイベントを開催し、死海近郊の6つの小学校から約80名の児童が死海パノラマ・コンプレックスを訪れました。再生可能エネルギーについて同施設の館長から講義を受けた後、子どもたちは太陽光発電システムを見学しました。実際に太陽光発電システムを目にした子どもたちは興味津々の様子で、たくさんの質問が飛び出しました。
また、王立自然保護院が2013年に作成したリーフレットには、太陽光発電システムの概要や効果が解説されているだけでなく、日本政府の資金協力による、日本企業とJICSを含む国際協力によってシステムが導入されたことが述べられています。このリーフレットは死海パノラマ・コンプレックスで配布されており、より多くの人々の注目が太陽光発電システムに集まり、その技術や可能性への関心が高まることが期待されます。
日本の技術が結集した死海パノラマ・コンプレックスの太陽光発電システム。CO2の削減はもちろんのこと、再生可能エネルギーの可能性と持続可能な天然資源の利用の提唱における貢献と、日本とヨルダンの友好の証として重要な役割を果たし続けることを願わずにはいられません。

活躍中の太陽光パネル
その向こうには死海のすばらしい景色が広がっています
死海パノラマ・コンプレックスのリーフレット
※各画像をクリックするとPDFでご覧になれます
※1死海パノラマ・コンプレックス(Dead Sea Panoramic Complex):日本の円借款「観光セクター開発事業」により建設された複合施設。太陽光発電システムのほか、死海博物館、会議場、レストランや屋外展望台、地元の特産品を扱ったショップなどを有している。高台から見る死海に沈む夕日は圧巻。首都アンマンからは車で約1時間半。
プロジェクト基礎情報
案件名 | 太陽光を活用したクリーンエネルギー導入計画 |
交換公文署名日 | 2010年2月28日 |
供与(E/N)額 | 6.40億円 |
調達代理契約日 | 2010年3月25日 |
契約相手 | ヨルダン・ハシェミット王国計画・国際協力省 |
実施機関 | パッケージ1: 王立科学院 パッケージ2: ヨルダン・ハシェミット王国観光省 |
プロジェクト概要 | パッケージ1: アンマンに所在するハッサン科学都市内への太陽光発電システム(280kWp)設置とともに、太陽光発電システムに係る基礎知識習得や保守点検方法等の技術研修を実施 パッケージ2: 死海パノラマ・コンプレックス内への太陽光発電システム(100kWp)設置とともに、太陽光発電システムに係る基礎知識習得や保守点検方法等の技術研修を実施 |
JICSの役割 | 本プロジェクトの調達代理機関として、必要な機材・サービスの調達および資金管理を含む案件全体の管理を実施 |